「行って来まーす」
誰もいない家に向かってそう言うと、
オレは玄関を出て鍵を掛けた。
いつもと同じ時間。
いつもと同じ景色。
そして、いつも通り、後ろからあかりが駆けてきて横に並び、
明るい笑顔で−−−。
「おはよう、○○ちゃん」
「あっ、あかり!?」
あかりを見るなり、オレは、素っ頓狂な声を上げてしまった。
・・・だって、あかりのヤツ、髪型が−−−。
「お前、その髪型・・・」
照れながら苦笑し、はにかむあかり。
「髪型、変えたのか?」
見れば一目瞭然のことを、オレは口にして訊いた。
「うん。ちょっと今朝、早起きして・・・」
頬にかかる慣れない髪を触りながら、あかりは恥ずかしそうに微笑んだ。
眩しい陽射しの中、見慣れないあかりの髪が、さららと風に揺れていた。
なんだか、あかりがあかりじゃないように思えた。