「じゃあ、これ、作りましょうか?」
「そうだな」
まあ、スパゲティーも料理というには単純だけど、カッ
プラーメンよりはいくらかマシだ。
マルチはさっそく取り掛かった。
腕まくりをして、オレの母親のエプロンをして、鍋でお湯を沸かす。
「大丈夫か?ちゃんと作れるか?」
「はい、任せてください!」
マルチは自信たっぷりの笑顔で言った。
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「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「せんべい?」
「・・・うっ」
「ミートせんべい?」
「・・・ううっ」
「これは、フォークじゃ食べらんねーな」
〜中略〜
「わたし、じつはお料理って、ほとんどやったことがないんです」
「なぬ〜」
「・・・研究所のテストでやったことがある程度で・・・。
・・・ううっ、作り方の説明通りにすれば、
きっとうまくできるとおもったんですけど・・・」
「あのな〜、料理ってヤツは、経験が重要なんだぞ?
単純に煮たり炒めたりするだけでも、微妙なコツとかがあるんだぜ?」
「・・・す、すみません。・・・わたし、出来てまだ間もなし
で、
いろいろと経験不足で・・・」
「経験不足か。・・・オレ、てっきりメイドロボットって、
そういう料理作るプログラムとかは、
最初からされてるもんだと思ってたけど・・・」
「・・・私は学習型のメイドロボットなんです」